掛川城御殿(後編)

 

 

   

   書院造と呼ばれる建築様式で、畳を敷きつめた多くの室しつが連なり、各室は襖ふすまによって仕切られています。
当初は、本丸にも御殿がつくられましたが老朽化したり災害にあって、二の丸に移りました。建築物の中に入って、実際に自分の目と足で実感できるのが最大の魅力。江戸時代の藩主の仕事場からプライベート空間に加え、当時の役所の様子まで一度に垣間見ることができます。
御殿は7棟からなる広々とした書院造で、用途に応じて約20部屋に分かれています。重要な公的対面所である御書院上の間や、藩主の居間として使われた長囲炉裏の間、また藩政を司っていた役所の部屋など、見所が満載。長囲炉裏の間の天井には、当時の藩主だった太田家の家紋が現存。江戸時代の暮らしの、かすかな余韻が残されています。さらに、見逃せないポイントは、数箇所の入口。藩主が出入りしていた表玄関から足軽の出入口まで、身分によって異なっていたという入口の違いが、武士の階級制度を今に残しています。
 

 

撮影:2016/3/21