仏ヶ浦(ほとけがうら)前編

 

 

   

  陸奥湾口の平舘海峡に面した峻険な海岸沿いに2キロメートル以上に亘り、奇異な形態の断崖・巨岩が連なる海蝕崖地形。緑色凝灰岩を主とした岩石が非常に長い間の海蝕を受けた結果形成されたものである。それぞれの奇勝には、浄土のイメージを重ねて「如来の首」「五百羅漢」「極楽浜」などの名が与えられている。90メートルを超える断崖もあるなど陸上から近付くのが困難な土地で、長らく地元民のみに知られる奇勝であった。
登山家・紀行家としても日本各地に足跡を残した大町桂月(1869〜1925)は、1922年9月に下北半島を訪れた際、仏ヶ浦を見て強い感興を覚え、「神のわざ 鬼の手つくり仏宇陀 人の世ならぬ処なりけり」の和歌をもってその奇観を賞したのちに、この歌を刻んだ歌碑が仏ヶ浦の岸に建てられている。
 

 

撮影:2015/10/18